
横浜都市発展記念館
歴史
吉田律人
YOSHIDA RITSUTO
自己紹介
吉田律人(横浜都市発展記念館主任調査研究員・日本近現代史)
大学院満期退学後、2008年に横浜市内の歴史系博物館を運営する横浜市ふるさと歴史財団に就職しました。横浜市史資料室調査研究員、横浜開港資料館調査研究員を経て、2021年から横浜都市発展記念館に勤務しています。
大学院満期退学後、2008年に横浜市内の歴史系博物館を運営する横浜市ふるさと歴史財団に就職しました。横浜市史資料室調査研究員、横浜開港資料館調査研究員を経て、2021年から横浜都市発展記念館に勤務しています。
所属館の設置者・運営母体は ?
設置者:横浜市
運営母体:公益財団法人横浜市ふるさと歴史財団
運営母体:公益財団法人横浜市ふるさと歴史財団
あなたの専門分野は ?
歴史学(日本近現代史)
学芸員になろうとした理由、学芸員になるまでの経緯は ?
幼少の頃からゴジラやガメラなど怪獣映画が大好きで、怪獣と戦う自衛隊(軍隊)や破壊された都市の規模、行政のシステムなどを調べているうちに社会科が大好きになりました。また、上杉謙信や河井継之助、山本五十六など、郷里である新潟県の偉人を調べることで、歴史にも興味を抱くようになりました。地元の国立大学に入って、高校の社会科教員になるつもりでしたが、歴史学で有名な東京の大学(渋谷の岡)に入学してしまい、そのまま研究の「沼」に落下、「入院」(=大学院進学)してしまいました。大学生の頃は「史学会」という歴史研究サークルに所属し、「怖い」先輩たちから実証的な文献史学の研究方法や、フィールドワークの方法、そして日本酒の味を学びました。歴史の研究ができ、かつ社会貢献ができる仕事として「学芸員」の仕事を選びました。
仕事内容は ?
横浜都市発展記念館は「都市横浜」の近現代史(主に大正時代から平成時代)を扱う博物館です。横浜開港資料館や横浜市歴史博物館とともに、横浜の記憶装置としての役割を担っています。横浜の歴史を後世に伝えるため、歴史資料の収集、整理・保管、調査研究、教育普及などを日々行っています。そうしたなか、調査研究員(学芸員兼アーキビスト)として、自らの専門分野を磨きつつ、試行錯誤を重ねながら業務を進めています。古文書などから歴史をひも解く文献史学を専門としていますが、現場経験を積むなかで、写真や絵葉書、ガラス乾板、浮世絵、絵画、スケッチ、掛軸、地図、人形、出土遺物、石造物など、多種多様な非文字資料も扱うようになりました。また、横浜市民を対象にオーラルヒストリー調査などを行い、市民生活の記録化も図っています。先人たちの努力によって残った歴史資料、今でしか残せない記録等を1000年、2000年先の未来に伝えていきたいと考えています。
仕事のやりがいのポイントは ?
学芸員の仕事で一番やりがいがあるのは、誰も知らなかった事実を「発見」し、それを展示や講演会、論文等を通じて広く発信していくことです。学生時代は主に軍事史や災害史の研究をしていましたが、学芸員として横浜に職を得てからは、関心の幅が大きく広がり、地域の様々な事象に目がむくようになりました。特に2018年に開催した企画展「銭湯と横浜」では、街の銭湯の歴史を調べていくことで、北陸地方と京浜地域との深いつながりを紹介することができました。京浜地域の銭湯経営者のルーツは大部分が北陸地方にあると言われていましたが、その実態はほとんど明らかになっていませんでした。しかし、そのことを示す銭湯経営者の寄進物(鳥居や狛犬など)、「横浜」の文字を能登半島で「発見」した時は鳥肌が立ちました。つまり、横浜の近現代史を考える歴史資料が北陸地方に残っていたのです。学芸員は様々な「発見」に出会える仕事です。
能登半島における神社調査 2019(令和元)年9月撮影
今後やってみたいことは ?
地域にはその土地の歴史を伝える様々な「宝」が眠っています。例えば、神社には、鳥居や狛犬、灯籠、玉垣などにそこで暮らした人びとの名前が刻まれています。また、石碑も歴史を伝える貴重な資料で、碑文だけでなく、設立の経緯などを追っていくと、過去に起きた事象を浮き彫りにしていくこともできます。横浜市内には様々なモニュメントがあり、関内地区に限っても相当数に上ります。横浜は近代日本の幕開けの地であるため、発祥記念碑などが散在しています。横浜開港資料館や横浜都市発展記念館の所在する日本大通りを基軸としつつ、そうしたモニュメントを活かしたフィールドミュージアム(野外博物館)を構築していきたいと考えています。さらに将来的には、他の博物館施設と協力しながらその輪を広げていきたいと思っています。博物館を核として、横浜の歴史、魅力を発信していきたいと考えています。
企画展「激震、鉄道を襲う!」の展示解説 2022(令和3)年3月撮影
学芸員として必要なスキル、経験、資格は ?
大きく2つあると考えています。一つは博物館の基礎となる資料を読み解き、その意義づけを行っていける研究力です。これを養っていくは、失敗を恐れず、場数を踏んでいくことが重要です。また、①研究史整理や②資料読解、③分析作業などの基礎能力を磨くことも必要です。日本史の場合は江戸時代の古文書を読み解く力が不可欠です。私自身、道半ば日々勉強中です。もう一つは社交性です。学芸員は一人で籠って黙々と作業しているイメージが強いですが、実際は様々な局面で社交性が求められる仕事です。外に出ていろいろな人と出会うことで、視野が広がりますし、展示のアイディア等も浮かんできます。特に地域博物館の場合は地域を歩き回り、人と交流することが必要不可欠です。「フィールドワーク」、私の好きな言葉です。
フィールドミュージアムの実践 2018(平成30)年 2月撮影